歯周病

1.歯周病とは?

歯周病は歯の表面につくプラーク(歯垢)によって起こる、歯の周りの病気です。歯肉の炎症による出血、腫れを特徴とする歯肉炎と、歯を支えている歯槽骨が破壊される歯周炎のふたつに分けられます。世間一般で言われている歯槽膿漏は、成人性歯周炎をいいますが歯周病には、その症状、病態によっていろいろな種類があります。

 

日本人の成人の8割が罹っているといわれる『歯周病』・・・歯茎に炎症が起き、放置しておくと膿が出たり、口臭がひどくなり、最後には歯が抜けてしまう病気です。

 

歯周病が怖いところは、虫歯と違って、初期段階では自覚症状がなく、知らず知らずのうちに進行してしまうという事です。最近では、心臓病などを招く危険性があることも指摘されています。

 

歯を支える組織は、歯茎や歯槽骨などから形成されています。歯茎に炎症が起きるのが『歯肉炎』。歯槽骨まで及ぶのが『歯周炎(歯槽膿漏)』です。両方を合わせて歯周病といいます。

 

一般的に、歯周病は急激に進むケースはあまり多くありません。何年もかかってじわじわと進行して歯を失うレベルに達するので、40代、50代よりももっと若いときから予防の対策を講じることが求められます。

 

■ 歯を失うとどうなる?
歯がない状態、あるいは義歯(入れ歯)を使っている状態では、物が噛みづらく、味もわかりにくくなります。また、発音がしにくくなり、食べたり、喋る時に、誤ってほおの粘膜を噛んで傷つける事もあります。歯を失う事によるハンディはそれだけにとどまりません。食べる時によく噛まないと、唾液が十分に分泌されなくなり、消化器官に負担をかける事にもなるのです。また、欠けている歯があったり、それによって咬合(噛み合せ)に異常があると、物を食べる時に左右のどちらかに偏って負担がかかります。すると肩こりや頭痛が引き起こされるなど、全身の健康に悪影響が生じます。

 

歯の損失は痴呆症とも大きく関係しています。噛むという行為は一種のポンプ作用で、それによって大量の血液を脳に送る事ができるからです。よく噛まないと、その分脳に送られる血液が少なくなります。加えて、噛むという行為は三叉神経を通じて脳を刺激します。歯の下には歯槽骨という骨があり、歯と歯槽骨は歯根膜という結合組織によってつながれています。歯根膜には歯の感覚を伝えるセンサーともいうべき歯根膜受容体があり、この受容体は三叉神経で脳につながっています。よく噛んで食べるという事は、この受容体の働きから考えても、脳にとって大変重要なのです。

 

このように、歯を失う事は様々な弊害をもたらします。さらには、歯周病自体が様々な病気の発症に関係する事が近年の研究によって明らかになってきています。

 

2.歯周病の原因

成人が歯を失う原因で一番目に多いのは、歯周病です。歯垢は、歯の表面に集まる目に見えない細菌からできているネバネバとした薄い膜です。歯垢は次第に硬くなって、歯石となります。歯石になると、歯科医院以外では簡単に取り除けません。

 

それ以外にも、糖尿病などの全身の病気や喫煙などの嗜好品、生活習慣が、歯周病を引き起こしたり悪化させる原因にもなっています。歯周病も生活習慣病の一つとして認知され始めています。

 

歯周病は細菌感染症で、その発症には約30種類の細菌が関わっており、歯垢を長期間放置する事で、バイオフィルムという細菌集団の膜が歯に強固に付着し、歯周病を進行させます。また、歯周病は、体の免疫力、抵抗力とも密接な関連があります。

 

■ 歯周病の発症から終結まで
歯周病は、歯肉炎に始まって、年月をかけてやがて歯周炎へと進むのが一般的なパターンです。ですから歯肉炎の段階で改善するのが望ましく、そうする事によって歯周炎が発症するのを防ぐ事が重要です。

 

1.歯肉炎の発症と進行
歯肉炎の初期では、歯と歯の間で隣接した部分の歯肉が赤くなり、少し腫れたように丸くなります。また、口の中がネバネバして、歯を磨くときに軽く出血します。さらに膿が出る事もあります。

 

2.歯周ポケットに悪玉菌が繁殖して歯周炎を発症
歯肉炎の症状が進むと、やがて歯垢や歯石は歯肉溝の中にたまってきます。そして悪玉菌が分泌する毒素によって歯肉上皮が破壊され、歯肉溝は深くなり、歯周ポケットが形成されます。歯周ポケットは、歯石などでふたをされた状態になり、その内部は酵素がなくても生きていける、毒素が強い悪玉菌の格好な繁殖場所になり、歯周炎が始まります。

 

3.歯周炎の症状
歯周炎の初期では、歯肉は全体にわたり赤くなり、ブラッシングをすると常に出血するようになります。また、朝起きた時に口臭がします。口の中のネバネバした感じがひどくなり、いつもベトベトしています。さらに、歯周ポケットには膿がたまってきます。


この状態が進むと、悪玉菌がさらに繁殖し、炎症が長期化して、歯槽骨が溶けてきます。そのため歯がぐらつくようになります。膿もますますたまり、歯肉の外へ出るようになります。さらに進行すると、ついには歯が抜け落ちてしまうのです。

 

歯が全て抜けた時にようやく歯周病という病気はなくなります。が、最近の研究では歯周病と全身的な病気との関連を示唆するデータが出てきました。ここではあえて触れませんが、常日頃から歯周病の予防に取り組むことがとても重要です。

 

3.全身の健康と歯周病

【糖尿病が歯周病に与える影響】
糖尿病患者の歯周ポケット(歯と歯茎の隙間)の浸出液中には、歯周病を進行させる炎症性物質が多い為に歯周病が進行すると考えられています。また、歯周病が糖尿病を悪化させている可能性も示唆されています。

 

【喫煙が歯周病に与える影響】
喫煙は歯周局所で防御反応を果たす白血球の機能の低下をもたらしたり、血管を収縮させて、歯肉の血行不良を引き起こします。そのため見かけの歯肉の炎症は少ないのですが、歯周病菌に対する抵抗力を低下させて歯周病を悪化させます。

 

【性ホルモンの不調和が歯周病に与える影響】
思春期や妊娠時、更年期など性ホルモンのバランスが崩れる時期に、歯肉の炎症を引き起こしたり、悪化させる事があります。

 

【食習慣が歯周病に与える影響】
砂糖摂取の過多、咀嚼の不足は、歯周病の原因である歯垢を増殖させたり、付着しやすくします。不規則な食事、栄養の偏りは全身に悪影響を与えます。

 

【遺伝が歯周病に与える影響】
遺伝的に細菌に対する抵抗力が強い人と弱い人がいます。重症の歯周病にかかっている方のいる家系では歯周病に対する注意が必要です。また、子供の離乳期における親からの口移しでもうつります。

 

4.歯周病の治療

【プラークコントロール】
歯医者にて歯垢を取り除く作業です。他に歯医者の指導により歯磨きすることもプラークコントロールのひとつの手段です。

 

【スケーリング】
プラークコントロールでは除去できないバイオフィルムを専門の器具で徹底的に除去していきます。バイオフィルムは歯周ポケット内に非常に頑固に付着しており、数回に分けて処置を行います。ポケット内のバイオフィルムを除去する場合は、局所麻酔が必要になる事があります。また、稀に非常に深い部分のバイオフィルムを除去しなくてはいけない場合は、小範囲の手術が必要になります。

 

【外科手術】
歯茎を切開して歯槽骨からはがし、歯根の先や歯根の間にこびりついて取れなかった歯石を除去します。外科手術はこの他にも様々な術式があり症状によって変わります。

 

5.歯周病の自己チェック

 

レベル1(歯肉炎)

  • 歯を磨くと時々血が出る
  • 歯茎の先に赤くなっている部分がある

 

レベル2(軽度の歯周炎)

  • 歯を磨くと血が出る
  • 歯が浮いたような感じがする
  • 歯茎がムズムズする

 

レベル3(中度の歯周炎)

  • 歯茎が時々赤く腫れて痛む
  • 歯茎から血や膿が出る事がある
  • 歯が長くなったような気がする
  • 口臭が気になる
  • 噛みにくい食べ物がある

 

レベル4(重度の歯周炎)

  • 歯がグラグラする
  • ブヨブヨした歯茎から血や膿が出る
  • 口臭がひどい
  • 食べ物が噛みづらい
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